動物園のキリンの前で出会った子供について

私が住んでいる市には動植物園があります。

入園料は高校生まで無料で、大人は600円です。

良心的な価格設定なので、私は幼い頃から何度もこの動植物園に遊びに行っています。

休日に行くと子供連れで賑わっていますが、平日には老夫婦や、私のように一人でふらっと立ち寄った人、大きなカメラを抱えた人などが多く、のんびりした雰囲気の園内です。

数か月前の土曜日、雨がたくさん降っている日に、私はまた、ふらっと動物園に行きました。

なかなかの強い雨で、休みの日にも関わらず園内の人は少なめでした。

動物たちも雨が当たらないところに隠れたり寝床に帰ったりしていて動物園全体がひっそりとしていました。

私はその日、キリンが見たいなあと思っていたのです。

そして、入り口近くのゾウなど、いつもより短い時間で見学して、園内をしばらく早歩きで歩くとキリンのところに着きました。

その動物園にはキリンが二頭いるのですが、その日はやはり雨粒が冷たかったのでしょうか、キリンは小屋の中に入ってしまっていました。

残念だなあと思っていると、とことことレインコートを着た小さい男の子が走ってきて、
「はは!ちち!キリンさんいないよ!」と叫びました。

おや、と思いました。

この子、お父さんとお母さんのこと、「ちち」とか「はは」とか呼んでいるのかな、少し面白いな、そう思って、私はしばらくキリンのところに留まってこの家族を観察してみることにしました。

気にされないように何歩か離れてみると、ご両親がやってきました。

「ほんとだね、雨だから、キリンさん雨宿りしてるんだね」

そういって、お父さんが息子を「次のところに行こうか」と促すと、小屋から一頭のキリンがひょこっと頭を出しました。

「あ!キリンさん出てきたよ!」

男の子が嬉しそうに飛び跳ねました。

キリンは雨に濡れた小屋の淵を、その長い舌でぺろぺろした後、またすぐ引っ込んでしまいました。

それでも男の子は嬉しかったようで、スキップしながら次の動物の飼育ゾーンに行ってしまいました。

その雨の日から数か月後の、晴れた日曜日、私はゼミの友人と動植物園に来ていました。

天気が良い日曜日だったので、子供連れで賑わっていました。

動物たちもご機嫌で、日向ぼっこをしたり遊んだりしています。

この日は、キリンが二頭とも外に出ていました。

キリンは舌が長すぎるので、鼻の穴に舌先が入ってしまっているのを友人と面白いね、などと話していました。

その時、小さい男の子が、「はは!ちち!今日はキリンさん外に出てるよ!」と叫びました。

あ、あの子だ、と思いました。

ニコニコの男の子を見て、今日は晴れてるもんね、良かったねと微笑んでしまいました。

 

 

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